"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
斑猫沢 [探虫行]
先週、小旅行にでかけてきました。昆虫撮影目的ではなかったので記事化はしませんが、
稲刈りをしたり、萱葺きの古民家に泊まったり、芸術祭を見学したりと一足早く秋を味わってきました。
ところが残暑が続いている都会に戻ってきてしまうと、夏のおわりが名残惜しくなってしまいました。
そこで、再び夏を探しに房総半島をさまよってみることにしたのです。
最初に訪れたのは、県立養老渓谷奥清澄自然公園の中のとある森。
清澄寺(せいちょうじ、きよすみでら)側からアプローチしようとしたのですが、参道入口には茶店の駐車場しかなくて有料だったのでやめました。
一旦海岸線までくだり、”し”の字をかくように東に迂回して、清澄山の東側から入ることに。
そこは県民の森なので、広くて無料の駐車場もあり、総合案内センターやキャンプ施設もあります。
まずはセンターで付近の案内図を入手していざ出発、と思ったら芝生の上にバッタを発見しました。
挨拶代わりに一枚。
黄緑色と薄茶色が入り混じったきれいなメスだなあと思って写していたのですが、プレビューしてびっくり。
隅っこに小さなオスがちゃんと写っていました。(フレームアウトしなかったのは偶然です)
こうして跪いていないと気がつかなかったと思いますが、今度はショウリョウバッタの前を横切る影が。
羽音もせず、細い糸くずが風に流されているように見えてしまう虫。そう、イトトンボです。
同定するにはもっと色んな角度から撮らなくてはなりませんが、先を急ぐことにしました。
一般車両は通行禁止の林道の入口に咲いていた花。
林道に入ってすぐ、路傍のアベリアにきていた子。
そして、道案内をしに出てきた子。
ハンミョウに会うのはたぶん1年ぶり。ゆるい上り坂を先導していってくれます。
一定の距離まで近づくと碧色にかがやく翅の下を見せながら舞い上がり、数メートル先にこちらを向いて着地します。
この習性から、この虫は”みちおしえ”とも呼ばれます。よく見るといかつい顔をしていますが美しい虫。
でも林道にいるのはなにも道案内のためではありません。好物のアリを探しているのです。
時折こうして立ち上がって辺りを見回すのです。ハンターの顔になっています。
林道は木陰になっていたのですが、先に進んでいく内に、ある一頭が林道脇の明るい草地に降りてくれました。
明るいところで見ると、胴体だけではなくて脚や触角も色鮮やかなのがわかります。
”ナミハンミョウ”ともいいますが、ハンミョウの仲間では”並み”が一番美しいですね。
そういえばタマムシもそうですね。タマムシの仲間で一番美しいのは単なる”タマムシ”です。
つまりどちらも種の代表選手ということでしょう。何とかタマムシや何とかハンミョウはとても適いません。
小さな沢があったので舗装された林道からトレッキングコースに入ってみました。
ゆるやかだった林道とは違い、一歩一歩踏みしめて進まなくてはならないほどの急な細い道でした。
岩は苔むしているし、積もった落ち葉も湿っていて滑りやすいのです。
足元に気をとられて、かんじんの昆虫探しがおろそかになりますが、単独行のため滑落することはなりません。
今回はちゃんと飲料水もを携行していたので、頂上(といっても標高は300m未満)の岩に座って小休止。
木があまりに鬱蒼としていて眺望はまったくできなかったので写真もありません。
尾根伝いに中腹まで降りると展望台なるものがありましたが、やっぱり何も見えず。
朽ちたベンチに腰掛けて水分補給しただけでした。
そこからはいくつか道が分岐していましたが、せせらぎの音がする方へ降りる道を選びました。
音の源である沢は別のトレッキングコースの出発点でした。それが冒頭の写真です。
この小流の脇を歩いていると足元にチラチラと光るものが動きます。
木漏れ日を受けて碧色にきらめきながら、ふわりふわりと道案内をはじめてくれました。
さあ、もうお分かりかと思いますが、タイトルはこう読んでください。
どうして”斑猫”という字をあてるのか詳しく知りませんが、音をあてたのではということを何かで読んだ気がします。
斑(まだら)といえばマダラですけどね。
ところで、ハンミョウサワという地名も沢もありませんのであしからず。勝手につけたフィールド名です。
さて、岩の上をうすく沢水が流れる場所が、ぽっかりと日向になっていて、きもちよい休憩場所になってました。
そこに腰をおろして顔と手を洗い、もちろん水分補給もしてリフレッシュできたとき。
すぐ目の前のシダにチョウチョが舞い降りてきました。
木漏れ日が一層強く射し込んだ瞬間、開張してくれました。
成虫になってから半年あるいは一年生きてきた個体かもしれません。ぼろぼろですが美しさが力強い。
あのチョウ(※)ではなかったですが、よい成果が得られました。
ただ、これだけでは”夏のおわり”は終わりません。
さっきから流れの際の岩の上をみちおしえが何匹も行ったり来たりしているのです。
でも近寄るとふわりと飛び去ってしまいます。
なので自分も岩になることにしました。
カメラを持ったまま体操座りをしてじっと固まっていると、数分もたたないうちに近くに舞い降りてきました。
流れを背景にして撮ることもできました。
すでに周りには3~4頭がうろうろしています。そのうち膝の下まで近寄ってきた子も。
好物のアリを探しているのかとも思いますが、この岩の上にはいそうにありません。
それでも入れ替わり立ち代りかれらは水辺にやってきます。
そしてその瞬間を目撃しました。
水を飲んでいるところです。
エサもさがしているのでしょうけど、こうしてかれらも水分補給を怠らないということですね。
というわけで、今年の夏のおわりの記憶は”ハンミョウサワ”だったのでした。
小旅行から一枚だけピックアップ。
数年ぶりにガムシの仲間をみてあわてて撮りました。(この一枚だけ)
うれしかったなあ。
今日の湯加減
稲刈りをしたり、萱葺きの古民家に泊まったり、芸術祭を見学したりと一足早く秋を味わってきました。
ところが残暑が続いている都会に戻ってきてしまうと、夏のおわりが名残惜しくなってしまいました。
そこで、再び夏を探しに房総半島をさまよってみることにしたのです。
最初に訪れたのは、県立養老渓谷奥清澄自然公園の中のとある森。
清澄寺(せいちょうじ、きよすみでら)側からアプローチしようとしたのですが、参道入口には茶店の駐車場しかなくて有料だったのでやめました。
一旦海岸線までくだり、”し”の字をかくように東に迂回して、清澄山の東側から入ることに。
そこは県民の森なので、広くて無料の駐車場もあり、総合案内センターやキャンプ施設もあります。
まずはセンターで付近の案内図を入手していざ出発、と思ったら芝生の上にバッタを発見しました。
挨拶代わりに一枚。
ショウリョウバッタ
黄緑色と薄茶色が入り混じったきれいなメスだなあと思って写していたのですが、プレビューしてびっくり。
隅っこに小さなオスがちゃんと写っていました。(フレームアウトしなかったのは偶然です)
こうして跪いていないと気がつかなかったと思いますが、今度はショウリョウバッタの前を横切る影が。
羽音もせず、細い糸くずが風に流されているように見えてしまう虫。そう、イトトンボです。
アジアイトトンボ のメス?
同定するにはもっと色んな角度から撮らなくてはなりませんが、先を急ぐことにしました。
一般車両は通行禁止の林道の入口に咲いていた花。
センニンソウ
林道に入ってすぐ、路傍のアベリアにきていた子。
クロアゲハ
そして、道案内をしに出てきた子。
ハンミョウ
ハンミョウに会うのはたぶん1年ぶり。ゆるい上り坂を先導していってくれます。
一定の距離まで近づくと碧色にかがやく翅の下を見せながら舞い上がり、数メートル先にこちらを向いて着地します。
この習性から、この虫は”みちおしえ”とも呼ばれます。よく見るといかつい顔をしていますが美しい虫。
でも林道にいるのはなにも道案内のためではありません。好物のアリを探しているのです。
これがエモノを探索するときの姿勢
時折こうして立ち上がって辺りを見回すのです。ハンターの顔になっています。
*
林道は木陰になっていたのですが、先に進んでいく内に、ある一頭が林道脇の明るい草地に降りてくれました。
明るいところで見ると、胴体だけではなくて脚や触角も色鮮やかなのがわかります。
”ナミハンミョウ”ともいいますが、ハンミョウの仲間では”並み”が一番美しいですね。
そういえばタマムシもそうですね。タマムシの仲間で一番美しいのは単なる”タマムシ”です。
つまりどちらも種の代表選手ということでしょう。何とかタマムシや何とかハンミョウはとても適いません。
*
小さな沢があったので舗装された林道からトレッキングコースに入ってみました。
ゆるやかだった林道とは違い、一歩一歩踏みしめて進まなくてはならないほどの急な細い道でした。
岩は苔むしているし、積もった落ち葉も湿っていて滑りやすいのです。
足元に気をとられて、かんじんの昆虫探しがおろそかになりますが、単独行のため滑落することはなりません。
今回はちゃんと飲料水もを携行していたので、頂上(といっても標高は300m未満)の岩に座って小休止。
木があまりに鬱蒼としていて眺望はまったくできなかったので写真もありません。
尾根伝いに中腹まで降りると展望台なるものがありましたが、やっぱり何も見えず。
朽ちたベンチに腰掛けて水分補給しただけでした。
そこからはいくつか道が分岐していましたが、せせらぎの音がする方へ降りる道を選びました。
音の源である沢は別のトレッキングコースの出発点でした。それが冒頭の写真です。
この小流の脇を歩いていると足元にチラチラと光るものが動きます。
木漏れ日を受けて碧色にきらめきながら、ふわりふわりと道案内をはじめてくれました。
さあ、もうお分かりかと思いますが、タイトルはこう読んでください。
”ハンミョウサワ”
どうして”斑猫”という字をあてるのか詳しく知りませんが、音をあてたのではということを何かで読んだ気がします。
斑(まだら)といえばマダラですけどね。
ところで、ハンミョウサワという地名も沢もありませんのであしからず。勝手につけたフィールド名です。
さて、岩の上をうすく沢水が流れる場所が、ぽっかりと日向になっていて、きもちよい休憩場所になってました。
そこに腰をおろして顔と手を洗い、もちろん水分補給もしてリフレッシュできたとき。
すぐ目の前のシダにチョウチョが舞い降りてきました。
ムラサキシジミ ♂
木漏れ日が一層強く射し込んだ瞬間、開張してくれました。
成虫になってから半年あるいは一年生きてきた個体かもしれません。ぼろぼろですが美しさが力強い。
あのチョウ(※)ではなかったですが、よい成果が得られました。
ただ、これだけでは”夏のおわり”は終わりません。
さっきから流れの際の岩の上をみちおしえが何匹も行ったり来たりしているのです。
でも近寄るとふわりと飛び去ってしまいます。
なので自分も岩になることにしました。
カメラを持ったまま体操座りをしてじっと固まっていると、数分もたたないうちに近くに舞い降りてきました。
流れを背景にして撮ることもできました。
すでに周りには3~4頭がうろうろしています。そのうち膝の下まで近寄ってきた子も。
好物のアリを探しているのかとも思いますが、この岩の上にはいそうにありません。
それでも入れ替わり立ち代りかれらは水辺にやってきます。
そしてその瞬間を目撃しました。
水を飲んでいるところです。
エサもさがしているのでしょうけど、こうしてかれらも水分補給を怠らないということですね。
というわけで、今年の夏のおわりの記憶は”ハンミョウサワ”だったのでした。
オマケ
小旅行から一枚だけピックアップ。
コガムシ
数年ぶりにガムシの仲間をみてあわてて撮りました。(この一枚だけ)
うれしかったなあ。
今日の湯加減
※虫好きの方はお分かりかと思いますが、”あのチョウ”というのは”ルーミスシジミ”のことです。
ムラサキシジミによくにていますが、ひとまわり小さいそうです。(実はまだ見たことがないのです)
特別な場所にしかいないというわけではないようですが、生息地が極めて限定的な希少種です。
その生息地のひとつが南房総の一部ということで、いつかは会いたいと願っています。
集団越冬することでも知られていて真冬の観察対象種でもあります。
そんなめずらしいチョウにふらっとでかけて会えるとはもちろん思ってなかったわけですけど、
かれらの好む沢の畔で薄茶色の翅がヒラヒラすると、どきりとするんです。
そういう意味でも楽しい観察行となりました。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
美しい斑猫、でも並み、、、て
足までも、きれいないろどりですのにね、、、
どきりもあって、楽しい観察のご旅行でしたね
by engrid (2012-09-16 07:27)
お早うございます。
ムラサキシジミが羽を広げたときは嬉しいですね。
ハンミョウがイッパイ〜〜〜まさにハンミョウサワでしたね。
こちらでもハンミョウを見かけますが、エモノを探索するときの姿勢は初めて見ました。素晴らしいショットでしたね(^。^)
by yakko (2012-09-16 08:57)
おはようございます^^
よく見つけられると感心してしまいます。
ハンミョウって美しいですね。
ムラサキシジミも会ってみたい蝶です。
by mimimomo (2012-09-16 09:50)
ハンミョウにもいろいろな種類があるんですね
それにしても綺麗な色合いですね。
by g_g (2012-09-16 10:30)
ハンミヨウ、きれいな虫ですねー!
by めもてる (2012-09-16 10:31)
今年は、特にチョウが少なくて、探すに大変なんです。
クロ系のチョウなど2,3頭位見ただけです。何の影響か?
by ryuyokaonhachioj (2012-09-16 10:41)
ハンミョウは綺麗ですが
やっぱり顔はイカツイですね。
なかなか近づくのも神経つかいますが
正面顔を撮るのは難しいです。
さすがだ。
by 響 (2012-09-16 20:21)
>engridさん
やっぱり、並みがいいですね^^
何回かどきりとしましたが本命ではないようでした。いつかきっと♪
>yakkoさん
こんなにたくさん集まっている光景ははじめてでした。
探索ポーズはよく図鑑でも使われると思います。特徴的ですね^^
>mimimomoさん
ムラサキシジミは比較的出会いやすいと思いますよ。
住宅地にもいます。マテバシイなどが街路樹に植えてあれば^^
>g_gさん
今回写したハンミョウは一種類だけです^^;
でも色々な表情をみせてくれて飽きずに撮影できました♪
>めもてるさん
昆虫図鑑の表紙を飾ることもあるほど、きれいな虫ですよね♪
子どもの頃から大好きです^^
>ryuyoさん
そうですか、こちらはヒョウモン系が今年は少ないように感じます。
>響さん
このイカツイ顔が子ども心をとらえるんじゃないかなと思います。
正面顔は道教え中に舞い降りたときを狙うか、岩になるのがいいと思います^^
センニンソウといい、ハンミョウといい、おもしろい偶然でしたね!
by ぜふ (2012-09-16 22:22)
ナミハンミョウを見たとき、何となく歌舞伎役者の顔を
思い出してしまいました。
綺麗な色使いをしている虫ですね。
by うえいぱうわ (2012-09-17 01:53)
なるほど、水生の昆虫はこうやって撮影すればいいんですね。
勉強になりました。
by さとし (2012-09-17 03:02)
>うえいぱうわさん
隈取りの模様ですか?なるほど、色使いも似ているかもしれませんね^^
>さとしさん
水生昆虫?? コガムシはそうですが・・
ハンミョウは水生ではないです。幼虫も土の中で生活します。
by ぜふ (2012-09-17 05:57)
ハンミョウって、
本当に鮮やかな色していますね!
by sasasa (2012-09-17 23:30)
>さささん
ハンミョウの仲間の中で一番派手ですね^^
by ぜふ (2012-09-18 06:28)
ハンミョウ・・・綺麗な色ですね
後を付けて行きたくなります
by めぇてる (2012-09-18 21:03)
>めぇてるさん
後をつけていくのとても楽しいですよ♪
どこに道案内されるかはハンミョウくんの気分次第ですが・・^^;
by ぜふ (2012-09-19 06:48)
ぜふさんが岩になっているところを想像しつつ。。。
やっぱり私のようにガツガツ行っちゃ虫さんたち逃げるの当然かも(笑)
ハンミョウって本当に鮮やかな色をしてるんですね。
水の流れを背景に写ったお写真が好きです♡
(ショウリョウバッタ、、、ぜふさんに教えてもらうまで全く・・・本当に全く
気が付きませんでした(笑))
by ちゃと。 (2012-09-19 21:04)
最近ぜふさんとニアミス的なところに行っているのに
ぜふさんのように可愛い昆虫や綺麗なお花に出会えない私って...
やっぱり食いしん坊目線だからかしら あはは(^^ゞ
by mipoko (2012-09-19 23:49)
>ちゃと。さん
水の流れ背景のショット、実はアングル的に一番苦労した一枚です。
なにせ岩になったままで身体をひねり倒して苦しい体勢なんですよ^^;
なので気に入ってもらえてとてもうれしいです。
ショウリョウバッタの彼氏のほうは本人もまったく・・・^^;
>mipokoさん
あれ?またですか?^^ 食いしん坊ぶりはきっと負けないと思いますが、
(実はこの日もとんでもなくおいしい○○屋さんを見つけてしまいました!^^)
虫を追っかけていると
飲まず食わずでヘロヘロになっていることがままありますね。。
by ぜふ (2012-09-20 00:10)
コメントありがとうございました。
鎌倉の朝比奈切通し付近の道では、
みちおしえに、よく出会いました。
手の中で独特の虫の匂いを嗅いだこと
思い出します。
by SILENT (2012-09-20 08:42)
>SILENTさん
陽の当たる切り通しはこの虫が越冬する場所にもなるかもしれません。
いつか観察に行ってみたいですね。
by ぜふ (2012-09-22 07:40)